専業主婦の妻

会社で決定権を握っていたのは、年功序列や男性優遇で大きな恩恵を受ける男性の年配正社員だったため、「性別や年齢にかかわらず、働きに見合った透明な人事制度を」という提案には、こうした人々の激しい抵抗が起きた。その結果、大手の企業については、大きな変化は起きなかった。だから、今も男性の多くは「正社員」で、自分からやめなければ解雇の心配はない。年功序列も続いている。とはいえ、根本的な改革を避けたために経済はさして上向かず、マイナス成長と低成長の間を繰り返していた。そこで、運よく上級管理職や経営陣などの基幹部門に入ることができた一部の男性たちは、それ以外のコースとして、「自己開発コース」と呼ばれる安い賃金の人事コースを男性の中にも導入し、人件費を全体で抑えることを思いついた。転勤を拒否したり、上司の覚えが悪かったりすれば、この「自己開発コース」に振り分けられ、昇進から外される。このコースに入ると年功序列はきかず、男性であっても、何年いても賃金は横這いだ。専業主婦の妻を扶養できる高い生涯賃金を基幹部門の男性たちに保障するためには仕方ない、という苦肉の策だった。一方、中小企業の方は、経済構造の激変にともなって倒産が頻発、男性社員でも終身雇用はおぼつかない状況が進行していた。こうした男性しかつかめなかった女性は、時間あたりの賃金が安いパートなどを昼と夜かけもちして長時間働き、家計を補助するしかなかった。悦子には劣るが、愛子の夫の誠は、一応大手企業の管理職にもぐりこむことができた。ここを読んだら、これから、出会う相手と上手に駆け引きができますね。


出典::
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結婚の破綻

そんな夫と結婚できてよかったと思う。「高校時代の友人の立子と比べたら、私は幸福よ」と愛子は、気を取り直した。立子の夫は同じ職場の独身の派遣社員の女性と恋愛関係になり、離婚を求めてきた。立子は抵抗した。民法は、九○年代に改正案が出された。案には、それまでの、夫の浮気など、結婚の破綻に責任のある側からの申し出による離婚は認めないといった条項を改め、事実上結婚関係が壊れていれば、責任のある方からの申し出でも認めるように変える、などの条項が盛り込まれていた。しかし同時に、夫婦別姓や、結婚届を出していない男女の子どもの相続分が、届を出している男女の子どもの相続分の半分という条項を変えて平等にするなどの改正も盛り込まれていたため、「家族の一体感がなくなり、家庭が崩壊する」と叫ぶ人々の反対で国会を通っていなかった。このため、立子と夫の離婚は、今も成立していない。だが、立子の夫は相手の女性とさっさと同居、生活費も入れてくれないまま五年になる。「民法が改正されなくても、同じことだったのよ」と立子はぼやきながら、かえって気持ちの切替えができず、離婚にはなお、踏み切りかねている様子だった。女性が一人前に稼げる仕事が少ないために、女性たちは収入の多い男性をめぐって激しい争奪戦を繰り広げていた。立子や愛子の夫のような大手企業の「基幹社員」コースの男性は、その標的だ。愛人でも、生活費を出してくれればいい、という若い女性はたくさんいる。仕事もいいけど、人生設計もしっかり考えて、素敵な出会いを見つけてください。


参考:
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今どきの専業主婦

今どきの専業主婦は、生活のために、こうした女性への防衛策を様々に張りめぐらさなければならないので大変だ。特定の男性の奪い合いに女性が血道をあげる一方で、収入の少ない男性の結婚難はひどくなるばかりだった。「この間もテレビの『男の結婚難問題特集」で、女はドライだ、冷酷だ、とか男の評論家が怒っていたけど、男の稼ぎに女の生活がかかっているんだから仕方ないわ。昔のように、女も外で働く時代だ、なんてノーテンキなことをいっていられないんだから」と愛子は思う。悦子の夫自慢に腹を立てて、愛子は「気の毒な立子に電話して、気晴らしをしよう」と受話器を取り上げた。時計は夜の十時を回っている。誠は今日も残業だろう。妻の分も稼ぐとなると、労働時間の短縮どころではない。それに、ほとんどの家には専業主婦がいて、男性は帰宅してもすることは何もないと思っているのだ。電話口に出た立子は、これから深夜パートに出かけるところだった。女性の賃金は安いから、生活費を稼ごうとすれば、多少の深夜業手当が割増される深夜の仕事になる。昼間は事務職のパートをこなし、夜は翌朝売り出す弁当をつくる工場の従業員。それだけ働いても生活費がやっとだ。「いい会社に入って基幹社員グループに入らないと、奥さんもきてくれない時代だから、二人の子どもの教育費だけはなんとかしなきゃね」と立子はため息をつく。立子は昔から成絞がよく、大学を出ると大手企業の「総合職」になった。恋愛と結婚は違うところが多いですので、出会った素敵なパートナーをよく見極めましょう。

参考:出会える アプリ
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総合職

当時は「基幹社員コース」を「総合職」と呼んでいた。「日本企業は女性差別がひどい」という芳しくない評判をぬぐいさろうと、一部の女性に開放された「男性並み処遇」のコースだった。しかし、立子は長時間労働で体を壊し、おまけにセクハラにも嫌気がさして出産と同時に退職した。「あのときやめてさえいなければね」と立子はいう。立子は、専業主婦になった後、子どもを二人もつくった。愛子の子どもは娘の可愛一人だ。女の子は老後に介護をしてくれるから、という理由で、生まれた当時は周囲からうらやまれたものだ。もちろん、収入の面では男性に劣るが、それは、いい相手をさがして結婚し、ぶらさがればいい。そのためには、ネームバリューの高い女子大にいれなければならないが、その教育費負担を考えたら、二人はとてもつくれない。「一人でたくさん、とは思わなかった?」と愛子が聞くと、立子は「だって、仕事をやめてまでして子どもをつくったのよ・せめて二人はと思って」という。立子の愚痴を聞きながら、愛子は「働かなきゃならないような身分にならなくて本当によかったわ」と、小さな満足のため息をもらした。今の愛子にとっても、心配はないわけではない。可愛が、最近は、家庭の中で突然ものを投げまくり荒れることが増えてきたのだ。カウンセラーに相談すると、家庭の中でべったり母親に干渉されすぎて、いらだっているのではないか、という。素敵な結婚相手を、見つけても結婚後に問題は発生した場合、ここに書いてあるように意外と改善に手間がかかります。気を付けましょう。



出典:
EP036_L


妻の座は手放さない

「そんなこといつたって、主婦は家にいて、子どもの世話をするのが仕事じゃないの」と愛子は不満だ。誠のことも多少はある。先日、「会社の上司とうまくいかない。新しい仕事を探すか、独立したいんだけど、次の仕事が軌道にのるまで君も働いてくれないか」と持ちかけてきたのだ。誠の提案に、愛子は一瞬カツとなった。女性の賃金は「基幹社員コース」に何とかもぐりこんで、子どもをつくらず長時間働き続ける数少ないキャリアウーマンたちをのぞけば、男性の半分程度だ。「働きに出たって、今からじゃ派遣社員の口もないのよ・派遺社員は「若いかわいい子」に会社の需要が集中しているんだから。年齢差別を禁止する法律なんか、日本にないのはあなたも知っているでしょう。パートはもっとお給料が安くて、仕事だけは男性並みだし。おまけにセクハラばかりで安心して働けやしない。あなた、結婚するときに、君の経済上の面倒は僕がみる、君は家事を一手に引き受けて美しい家庭をつくろう、といったじゃないの」と言い返した。誠は、それ以上何もいわなかった。あれ以来、誠の機嫌はあまりよくない。「たとえ不仲になっても、今の民法なら、こちらが承諾さえしなければ、離婚は回避できるわ。妻の座は絶対手放さないわよ」と、愛子は、壁にかかった誠の写真をにらみつけた。
夫婦間で問題が出たとき、複雑であればあるほど解決に時間が掛かります。そうならない為にも、ここで相性が合う素敵な結婚相手を見つけましょう。



出典:
EP031_L