妻の座は手放さない

「そんなこといつたって、主婦は家にいて、子どもの世話をするのが仕事じゃないの」と愛子は不満だ。誠のことも多少はある。先日、「会社の上司とうまくいかない。新しい仕事を探すか、独立したいんだけど、次の仕事が軌道にのるまで君も働いてくれないか」と持ちかけてきたのだ。誠の提案に、愛子は一瞬カツとなった。女性の賃金は「基幹社員コース」に何とかもぐりこんで、子どもをつくらず長時間働き続ける数少ないキャリアウーマンたちをのぞけば、男性の半分程度だ。「働きに出たって、今からじゃ派遣社員の口もないのよ・派遺社員は「若いかわいい子」に会社の需要が集中しているんだから。年齢差別を禁止する法律なんか、日本にないのはあなたも知っているでしょう。パートはもっとお給料が安くて、仕事だけは男性並みだし。おまけにセクハラばかりで安心して働けやしない。あなた、結婚するときに、君の経済上の面倒は僕がみる、君は家事を一手に引き受けて美しい家庭をつくろう、といったじゃないの」と言い返した。誠は、それ以上何もいわなかった。あれ以来、誠の機嫌はあまりよくない。「たとえ不仲になっても、今の民法なら、こちらが承諾さえしなければ、離婚は回避できるわ。妻の座は絶対手放さないわよ」と、愛子は、壁にかかった誠の写真をにらみつけた。
夫婦間で問題が出たとき、複雑であればあるほど解決に時間が掛かります。そうならない為にも、ここで相性が合う素敵な結婚相手を見つけましょう。

出典:

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