結婚の破綻

そんな夫と結婚できてよかったと思う。「高校時代の友人の立子と比べたら、私は幸福よ」と愛子は、気を取り直した。立子の夫は同じ職場の独身の派遣社員の女性と恋愛関係になり、離婚を求めてきた。立子は抵抗した。民法は、九○年代に改正案が出された。案には、それまでの、夫の浮気など、結婚の破綻に責任のある側からの申し出による離婚は認めないといった条項を改め、事実上結婚関係が壊れていれば、責任のある方からの申し出でも認めるように変える、などの条項が盛り込まれていた。しかし同時に、夫婦別姓や、結婚届を出していない男女の子どもの相続分が、届を出している男女の子どもの相続分の半分という条項を変えて平等にするなどの改正も盛り込まれていたため、「家族の一体感がなくなり、家庭が崩壊する」と叫ぶ人々の反対で国会を通っていなかった。このため、立子と夫の離婚は、今も成立していない。だが、立子の夫は相手の女性とさっさと同居、生活費も入れてくれないまま五年になる。「民法が改正されなくても、同じことだったのよ」と立子はぼやきながら、かえって気持ちの切替えができず、離婚にはなお、踏み切りかねている様子だった。女性が一人前に稼げる仕事が少ないために、女性たちは収入の多い男性をめぐって激しい争奪戦を繰り広げていた。立子や愛子の夫のような大手企業の「基幹社員」コースの男性は、その標的だ。愛人でも、生活費を出してくれればいい、という若い女性はたくさんいる。仕事もいいけど、人生設計もしっかり考えて、素敵な出会いを見つけてください。


参考:
EP041_L